7月27日(日) 東京国立近代美術館 『建築がうまれるとき ペーター・メルクリと青木淳』 展に行った。夏の青春18きっぷにて日帰り往復 (しかし帰りは大雨のため在来線が止まり、高崎→越後湯沢間は新幹線をやむなく使った)
私は青木さんの展示を重点的に見た。展示品のスタディ模型群と、会場展示構成のデザインから、私が今までそれほど知ることの無かった 「青木淳の建築活動の雰囲気」 を、たくさん味わうことができた。
五十嵐淳さんのブログに 「先に冊子を購入して、それを見ながら模型を見ていくのが」 おすすめとあり、私はそのようにした。まずミュージアムショップへ行き、図録を手に入れた。
スタディ模型群はプロジェクトの進捗ごとに、20の段階にカテゴライズされており、各段階には青木さんの解説コメントがあった。私にとって一番価値のある情報は、本人の肉声が感じられるそのコメントだった。図録にはコメントは収録されていなかったので、私はエンピツで逐一コメントをカタログの余白に書き取りながら展示を見ていった。会場にいた学生さんの中にも、ここまでやりながら見ている人はさすがにいなかったけど、こっちは遠くからわざわざ飢えて来とんねん! こりこり書き写すのはものすごく時間がかかったけど、その手作業の長い時間のおかげで、最終的には、展示内容と青木さんの試行錯誤の流れが、私の頭に染み付くまでになった。青木さんは、できあがったスタディ模型を見るとき、論理ではなく自分の感覚によってのみ、その良し悪しを判断するそうだ。展示されていたプロジェクトの一連の進捗と、変化していくスタディ模型群からは、青木さんのそのような製作姿勢を、強くうかがうことができた。
カタログの模型写真の雰囲気と、手書き文字のおぼつかなさは相性が良く思えて、私は 「このカタログは手書き文字によって、より完成形になるはず」 と思いながらコメントを写していった。何年後でもこのカタログを見れば私はあの展示室を思い出せるだろう。
メルクリさんの方は私は不勉強で実作に詳しくなかった。青木さんの展示を見ることにちからを使い果たしたので、私はメルクリの展示をきちんと見ることができなかった。しかし帰りの電車の中で読んだカタログの、貝島桃代さんによるメルクリの解説文はとても面白かった。メルクリは貝島さんにとって、とても良い教師だったようだ。
こんど青木淳さんは神戸芸工大において、「模型から建築へ」 という課題を学生に課すらしい。課題文を読んでみて、私は近代美術館の展示を見たおかげで、青木さんがこの課題において何を言わんとしているのか、すごくよくわかる。美術館に展示されていたスタディ模型群には、いままで私が見たこともないような製作技法で作られたものがたくさんあった。
No comments:
Post a Comment