別ブログもやっております! 50年間の役目を終えた「長岡市厚生会館」! その静かなる有終の日々…
「MOANIN' 長岡市厚生会館」

Thursday, July 22, 2010

直して使う・実践編

 まだ梅雨が明ける前のある日、永年使っていたジャンプ傘が、突然壊れました。
 太い骨が2本、根本からはずれていました。


 実はこの傘が壊れるのは、これが初めてではありませんでした。


 以前に骨が曲がったことがありました。
 ちょっと調べると、その程度なら自分で直せそうなので、その時は専用の金具を買ってきて、直しました。


↑わかりにくいのですが、数個のツメが付いた金具を、曲がった骨の外側 (布側) からあてがい、ツメをペンチで締めて直してあります。
 金具はホームセンターで200円ほどで売っていました。そんな出費で直ります。この程度で買い換えるのはバカバカしい。


 今回も、なんとか自分で直すか、直してもらえる所を探そうと思い、ネットで少し調べました。
 「『大骨』 が 『ろくろ』 からはずれた、ということなのかなあ…」 などと考えながら、様子をみようと傘を開け閉めしたところ、無事だった他の骨や、別のいろいろな箇所が、連鎖的にボロボロとはずれてしまいました。


 手に負えないと思い、この傘を直すのは、あきらめました。


 傘については、あきらめがつきましたが、僕はこれまで、けっこういろんな物を、直し直し使ってきたなあと、思い至りました。
 先日の 『昭和くらしの博物館』 で見た 「いかけ屋」 ではありませんが、僕がいままでに捨てずに直してきたものを、まとめてみようと思います。


■フライパン
 僕が愛用しているフライパンは、韓国風の形状のものだそうです。
 持ち手と本体は、最初は小さなリベットでかしめ留めされていましたが、使いこむうちにリベットがはずれたので、小さいボルトとナットで締めていました。


 しかしある日、本体側のボルト穴が破断して効かなくなり、持ち手がはずれてしまいました。
 しばらくはヤットコでくわえて使っていました。


 そのうちに 「溶接して直してもらおう」 と思うようになりました。
 知人から鉄工所を紹介してもらい、フライパンを持ち込みました。職人さんは、「もっと業務用の大きなフライパンなのかと思った」 と笑いながら、即座に溶接してくれました。すごい、さすが。
 「お礼はいかほどいたしましょうか?」 と聞くと、「じゃあ…千円で(笑)」 とのお答えでした。格安です。フライパンはいまでも全く問題なく、酷使・愛用しています。


■ちゃわん
 父が永年愛用してきた夫婦茶碗を、ある日落として割ってしまったということでした。佐渡の無名異焼のものだそうです。
 僕は 「直してくれる場所を探してみる」 と、茶碗を預かりました。


 知人の陶芸家さんに相談しようかとも思ったのですが、石川県に、直しを専門で請け負っている人がいることを知ったので、お願いをして、茶碗を送りました。
(加賀市・山中温泉の 『ぬしや』 さんといいます。)


 数ヶ月して、茶碗が金継ぎされて、戻ってきました。


 父は最初は 「もったいなくて使えない」 と言っていましたが、最近意を決して(笑)使い始め、喜んでくれているようです。


■デイパック


 黄色い愛車 (自転車) と色をあわせたこのデイパックを、ずっと自分で直しながら使ってきました。


 サイドポケットの破れを縫い、ファスナーのほころびを縫い、そのうちにファスナーが完全に壊れたので、マジックテープやベルトを縫い付けて直し、肩ひもの付け根が裂けてきたので、強引に縫って直し…


 しかしある日ついに限界がきました。それと汗臭い…。
 なのでデイパックは買い替えましたが、これは予備用として捨てずに取ってあります。
 

Wednesday, July 21, 2010

東京・川崎 (後編)

6月第3週
『江戸東京たてもの園』 では、毎回通いつめる前川國男・自邸はもちろんですが、それ以外で印象に残ったところをメモします。


田園調布の家(大川邸)
 大きなパーゴラによる、外構の囲いこみかた。
 建物本体との距離の取りかた。



天明家(農家)の大かまどの土間
 とにかく、光が良かった。



「仕立屋」 のつつましさ
 2畳の居間
 ボランティアガイドの警察署長さん (のコスプレの方) が案内してくれました。



『昭和のくらし博物館』 には、今回初めて行きました。


 旗ざお敷地の2階建の家 (昭和26年築) が、博物館として保存使用されています。 内部撮影禁止なので写真はありませんが、建築的にも民俗学的にも、とても面白い博物館でした。
 婦人之友社が売り出したという昭和初めの整理タンスの、扉と抽斗の割り付けが合理的で、印象に残っています。


 にぎわっている施設でしたが、客が空いたときに、館長の小泉和子さんが、いろいろと説明してくれました。台所は小さいけど使いやすそうで、「その気にさせる」 台所でした。
  「いかけ屋」 が穴を修理した、アルマイトの鍋などを手に取らせていただきました。

Friday, July 02, 2010

東京・川崎 (前編)

6月第3週の週末
 東京と川崎に行ってきました。「江戸東京たてもの園」 「昭和のくらし博物館」 「川崎市市民ミュージアム」 などを見学してきました。


 川崎市市民ミュージアムでは、「ネオ漫画家」 の横山裕一さんの展覧会を見てきました。




 会場では、横山さんの生原稿が、楕円状のディスプレイテーブルに、平置きでグルリと並べられていました。
 会場内での写真撮影が許可されていました。


 僕は横山さんの 『ニュー土木』 を読んだことがあったのですが、この会場で同じ作品を読むと、印象がかなり違いました。

 
 製本の状態で作品を読むのに比べて、平置きディスプレイで原稿を平らなまま(=原稿の本来の状態で)読むと、「受け取る情報とスピードの損失」 が、はるかに少ないことに気付きました。
 頭に入ってくる作品のスピード感が、まったくそこなわれないので、とても興奮しました。


 そんな会場で、僕は 『トラベル』 という作品を初めて読んだのですが、このマンガ = 擬音もセリフも一切なく、鉄道での旅が、ただ淡々とビュンビュンと描かれていく = に、この会場で初めて出会えたのは、とても幸運でした。


 僕もよく鉄道で旅するので実感していますが、目的地までの車内での、ある種のやるせなさとか…次から次へと後方に消えていく、知らない街の魅力的な風景を眺めていく気分とか…
 そういった雰囲気がこの 『トラベル』 の中に、完全に封じ込められ、描き切られていました。


 それを 「スピードのロスがまったくない展示」 で味わえたのですから、我を忘れて見入ってしまいました。
 楕円状のテーブルに沿って作品を読みすすみ、そして気がつくと一周して 『トラベル』 を読み終え、1ページ目と同じ地点にぐるりと戻っていました。名状しがたい不思議な体験でした。


 帰りにミュージアムショップで 『トラベル』 の単行本を、まよわず買って帰りました。


 そして結局僕は、展覧会に2日間、通いました。



 2日目は会期の最終日ということもあり、会場はお祭り状態でした。
 横山裕一さんご本人がいらしたので、僕は 『トラベル』 にサインをいただきました。


 僕が 「展示にとても興奮したので、今日来るのが2度目です」 と言うと、横山さんは 「そうですか…じゃあこれも特別に。」 と不敵に笑い、奥からポスターを出してきて、渡してくれました。
 そちらにもサインをいただき、握手もしてもらいました。あー面白かった!



 サインはイニシャルの 「Y・Y」 なのでしょうか?