土曜日曜と、東京に行ってきました。いくつかの街を散策し、展覧会や建築を見学してきました。
●ミドリズム/長岡造形大学大学院建築展 at 世田谷ものづくり学校
●全国修士設計作品展 トウキョウ建築コレクション2007 at 代官山ヒルサイドテラス
長岡造形大展は、独自の「ミドリズム」路線を、ひたすらにナイーブに走り続けていて、知見のオリジナリティが貴重な存在だと思った。パネルと模型に、見る側への親切心がもっとあればいいな、と感じた。久しぶりに友人の野口祐也くんに会って近況報告などしあうことができ、良かった。
全国修士設計展は、すべての模型やパネルが見応えあるプレゼンテーションであり、それらからは作者が作品に懸けている強いエネルギーを感じることができた。ざっと見た限りなので間違っているかもしれないが、環境要素・形態要素・法規制などを作者独自の方法で適用させて新しい空間を設計していくという 「造形的な実験」 を追求した作品が多く、「ではなぜその建築が社会に必要なのか」 「誰の幸せのための建築なのか」 という問いに答えてくれる作品は、残念ながら私には見つけることができず、その点が大いに疑問であり不満だった。
●アトリエ・ワン展 at ギャラリー間
実物の作品と、大きなスケールで作られた数々の住宅模型が展示の中心で、直球勝負のプレゼンテーションであり、「空間の想像しがい」 が抜群で、すごく良かった。また、あわせて出版されたカタログは、住宅の断面詳細パースの図面集に徹していて、こちらも読み応えが満点だった。カタログは会場にも備え付けられていて、詳細図と模型を見比べながら観察することができた。私はできれば期間中にまた行って、今回よりもっと時間をかけて見てみたいと思っている。
●見学した、と言うか、道路からそっと眺めた住宅 :
古谷誠章さん設計の 『ジグハウス・ザグハウス』、福島加津也さん設計の 『e-HOUSE』、千葉学さん設計の 『黒の家』。
それぞれの住宅の、敷地や配置の様子・周囲への開き方閉じ方・近隣におけるたたずまいなどを拝見し、実物から私が感じる印象は何なのか、それを成り立たせている要素は何かなどを考え、いろいろと勉強させていただいた。
●旅の最後に、国立新美術館の 『黒川紀章展』 に行った。
美術館へは地下鉄乃木坂駅から直結の入り口よりアプローチしたので、ファサードを見ることなくホワイエに入った。「ちょっと大味で、のびやかで気持ち良いホワイエという訳ではないなあ」 という第一印象を持った。(展示を見終わってからファサードにまわってみると、曲面ガラスのカーテンウォールとガラスのルーバーから、大きなボリュームらしからぬ、揺らいでいるような不思議な面白さを感じた。こちらを見てからホワイエに入ったら、また違った感想だったかもしれない。)
『黒川紀章展』 は、意外なほど素晴らしい展覧会だった。昨年の 『伊東豊雄展』 に匹敵するかもしれない。
展示されている模型は、ルーペで覗き込む数百分の一のものから、巨大な数十分の一模型や原寸モックアップまで、スケール設定が緩急自在で、これは他の建築展ではなかなか体験できない楽しいものだった。
会場の真ん中に置かれた四角いトンネル状の空間は、黒と赤に塗られ、内部には極小模型が並んでいて、トンネルの壁には所々に丸い穴が開き、トンネルの内と外、あるいは模型展示とそれを見る人々同士で視線の交錯が起きて、精神が刺激された。
会場の壁一面には作品の大きな写真や、アジテーションの文句がちりばめられ、ひとめ見たときのメッセージは、例えば今回私が見た学生の展示と比較すると、何倍も強く伝わってきた。
展示の最後は 「黒川紀章キーワードライブ」 として、黒川都市・建築論のキーワードをサカナにして、様々なアーティストたちがみずからの作品を制作展示していて、こちらは難しいことはとりあえず置いといて、普通に現代アートとしてすごくハッピーな空間だった。黒川紀章という一個人が継続して発揮してきた構想力の強さは見習わなければいけないな、と思った。残念だったのは、展覧会のカタログの内容が、これだけ素晴らしい展覧会の記録としてはちょっと物足りないものだったことだ。
国立新美術館で印象的な出来事があった。ホワイエには 『自動デッサン機械』 で名高いティンゲリーの巨大な作品が置いてあり、1時間にいちど、2分間ほど稼動されるとのことだった。予定時間になりそうだったので見ていると、学芸員の女性がやってきて装置のスイッチを入れた。すると、鉄の歯車やベルトのかたまりだったものが轟音とともに動き出し、ずりずりぐりぐりと、まるで生物のような動きをくり返しくり返し行った。気味が悪いけどファンタスティックでもあった。作品の周りには人垣ができていった。
印象に残ったというのは、2分間のインスタレーションが終わったとき、見ていた人々がいっせいに何事も無かったかのように散っていったことと、スイッチをいれた学芸員がまったくもって事務的だったことだ。見終わった人は拍手するでもブーイングするでも感想を話し合うでもなく、本当にただ立ち去っていった。つまんなかったのかな。学芸員も、もうちょっと 「楽しませよう」 と言うか、「さあこれから面白いことを起こしますよ」 的なアナウンスなり態度なり表情なりがあったらいいのにな、と思った。私は海外に行ったことも無い全くの日本人だがあえて言うと、ベリー・ジャパニーズだなぁと思った。学芸員のことは次に行ったときにアンケートに書いてこよう。
今回は 「青春18きっぷ」 を使って東京に行き、まだきっぷは余っている。長時間の鈍行の旅はたいへん体にこたえるけど、いま私はすごく建築の刺激に飢えているので、また近々に東京に行ってみたいと思う。
------------
I went to Tokyo last weekend. I watched some architectures and exibitions. Also I walked around some towns, Denentyofu, Okusawa, Ueno, Misyuku, Daikanyama for example. ( I got leg aches.)
There were many many kinds of people in Tokyo who were never been seen in Niigata. Sometimes I'm called little strange in Niigata, but I've got to feel easy since watching various people in Tokyo.
...Modinha...
●ミドリズム/長岡造形大学大学院建築展 at 世田谷ものづくり学校
●全国修士設計作品展 トウキョウ建築コレクション2007 at 代官山ヒルサイドテラス
長岡造形大展は、独自の「ミドリズム」路線を、ひたすらにナイーブに走り続けていて、知見のオリジナリティが貴重な存在だと思った。パネルと模型に、見る側への親切心がもっとあればいいな、と感じた。久しぶりに友人の野口祐也くんに会って近況報告などしあうことができ、良かった。
全国修士設計展は、すべての模型やパネルが見応えあるプレゼンテーションであり、それらからは作者が作品に懸けている強いエネルギーを感じることができた。ざっと見た限りなので間違っているかもしれないが、環境要素・形態要素・法規制などを作者独自の方法で適用させて新しい空間を設計していくという 「造形的な実験」 を追求した作品が多く、「ではなぜその建築が社会に必要なのか」 「誰の幸せのための建築なのか」 という問いに答えてくれる作品は、残念ながら私には見つけることができず、その点が大いに疑問であり不満だった。
●アトリエ・ワン展 at ギャラリー間
実物の作品と、大きなスケールで作られた数々の住宅模型が展示の中心で、直球勝負のプレゼンテーションであり、「空間の想像しがい」 が抜群で、すごく良かった。また、あわせて出版されたカタログは、住宅の断面詳細パースの図面集に徹していて、こちらも読み応えが満点だった。カタログは会場にも備え付けられていて、詳細図と模型を見比べながら観察することができた。私はできれば期間中にまた行って、今回よりもっと時間をかけて見てみたいと思っている。
●見学した、と言うか、道路からそっと眺めた住宅 :
古谷誠章さん設計の 『ジグハウス・ザグハウス』、福島加津也さん設計の 『e-HOUSE』、千葉学さん設計の 『黒の家』。
それぞれの住宅の、敷地や配置の様子・周囲への開き方閉じ方・近隣におけるたたずまいなどを拝見し、実物から私が感じる印象は何なのか、それを成り立たせている要素は何かなどを考え、いろいろと勉強させていただいた。
●旅の最後に、国立新美術館の 『黒川紀章展』 に行った。
美術館へは地下鉄乃木坂駅から直結の入り口よりアプローチしたので、ファサードを見ることなくホワイエに入った。「ちょっと大味で、のびやかで気持ち良いホワイエという訳ではないなあ」 という第一印象を持った。(展示を見終わってからファサードにまわってみると、曲面ガラスのカーテンウォールとガラスのルーバーから、大きなボリュームらしからぬ、揺らいでいるような不思議な面白さを感じた。こちらを見てからホワイエに入ったら、また違った感想だったかもしれない。)
『黒川紀章展』 は、意外なほど素晴らしい展覧会だった。昨年の 『伊東豊雄展』 に匹敵するかもしれない。
展示されている模型は、ルーペで覗き込む数百分の一のものから、巨大な数十分の一模型や原寸モックアップまで、スケール設定が緩急自在で、これは他の建築展ではなかなか体験できない楽しいものだった。
会場の真ん中に置かれた四角いトンネル状の空間は、黒と赤に塗られ、内部には極小模型が並んでいて、トンネルの壁には所々に丸い穴が開き、トンネルの内と外、あるいは模型展示とそれを見る人々同士で視線の交錯が起きて、精神が刺激された。
会場の壁一面には作品の大きな写真や、アジテーションの文句がちりばめられ、ひとめ見たときのメッセージは、例えば今回私が見た学生の展示と比較すると、何倍も強く伝わってきた。
展示の最後は 「黒川紀章キーワードライブ」 として、黒川都市・建築論のキーワードをサカナにして、様々なアーティストたちがみずからの作品を制作展示していて、こちらは難しいことはとりあえず置いといて、普通に現代アートとしてすごくハッピーな空間だった。黒川紀章という一個人が継続して発揮してきた構想力の強さは見習わなければいけないな、と思った。残念だったのは、展覧会のカタログの内容が、これだけ素晴らしい展覧会の記録としてはちょっと物足りないものだったことだ。
国立新美術館で印象的な出来事があった。ホワイエには 『自動デッサン機械』 で名高いティンゲリーの巨大な作品が置いてあり、1時間にいちど、2分間ほど稼動されるとのことだった。予定時間になりそうだったので見ていると、学芸員の女性がやってきて装置のスイッチを入れた。すると、鉄の歯車やベルトのかたまりだったものが轟音とともに動き出し、ずりずりぐりぐりと、まるで生物のような動きをくり返しくり返し行った。気味が悪いけどファンタスティックでもあった。作品の周りには人垣ができていった。
印象に残ったというのは、2分間のインスタレーションが終わったとき、見ていた人々がいっせいに何事も無かったかのように散っていったことと、スイッチをいれた学芸員がまったくもって事務的だったことだ。見終わった人は拍手するでもブーイングするでも感想を話し合うでもなく、本当にただ立ち去っていった。つまんなかったのかな。学芸員も、もうちょっと 「楽しませよう」 と言うか、「さあこれから面白いことを起こしますよ」 的なアナウンスなり態度なり表情なりがあったらいいのにな、と思った。私は海外に行ったことも無い全くの日本人だがあえて言うと、ベリー・ジャパニーズだなぁと思った。学芸員のことは次に行ったときにアンケートに書いてこよう。
今回は 「青春18きっぷ」 を使って東京に行き、まだきっぷは余っている。長時間の鈍行の旅はたいへん体にこたえるけど、いま私はすごく建築の刺激に飢えているので、また近々に東京に行ってみたいと思う。
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I went to Tokyo last weekend. I watched some architectures and exibitions. Also I walked around some towns, Denentyofu, Okusawa, Ueno, Misyuku, Daikanyama for example. ( I got leg aches.)
There were many many kinds of people in Tokyo who were never been seen in Niigata. Sometimes I'm called little strange in Niigata, but I've got to feel easy since watching various people in Tokyo.
...Modinha...
3 comments:
野田さん、偶然ですが私も土日は東京でした。大森邸見てきましたよ。「抜け」がよかったです。
「青春18きっぷ」知りませんでした。安くていいですねぇ。
18きっぷは、こって疲れます。予算さえ許せば使いたくはありません。でも実りある東京旅行でした。
mawadaさん東京はお仕事でしたか? もしブログに何か書かれるのでしたら、楽しみに読ませていただきます。
・・・ブログに書かれていますね。
リンクを貼らせてください。
http://mawada.exblog.jp/
・・・リンクを貼ってみたところ、この小さなコメントウィンドウ内でしか開かないようです。
ですからmawadaさんのブログを読みたい方は、アドレスのコピー&ペーストでぜひ訪問されてください。
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