長岡から鈍行を乗り継いで、埼玉の北浦和駅に着いた。
駅からほど近い都市公園に、埼玉県立近代美術館がある。黒川紀章設計のフレーミーな建物では、『ホルスト・ヤンセン展』 が開かれていた。
ホルスト・ヤンセン (1929-1995) は、「デューラー以来の素描家」 と呼ばれたドイツの画家で、凄まじいまでの表現力の持ち主だ。
どんな感じの絵を描くか、興味がある人は美術館へのリンクで確かめてみてください。
http://www.momas.jp/
葛飾北斎をはじめとする日本画に深く傾倒し、また自身の作品にたびたび和紙を使った。ヤンセンが使った和紙は、新潟県小国町を中心に活動している和紙作家・坂本直昭さんが漉いていた。小国町でヤンセンの作品展が開かれたこともあり、僕は何度かヤンセンの作品を目にしていた。
今回の埼玉の展覧会で僕が一番印象的だったのは、「ヤンセンのアトリエ」 と題された一画の展示だ。そこには花や静物を描いた作品が展示されていた。
彼のアトリエは雑然をきわめ、画材や絵のモチーフで埋め尽くされていたらしい。
『エルンスト・ユンガーのために』 という静物画は、小鳥の死骸や骨が机に置かれていて、それを真上から見下ろした構図で描かれている。鉛筆の線描に精妙に色が塗り加えられている。透明水彩のドライブラッシュかと思ったら、画材は色鉛筆とパステルだった。
僕はこれを見て、10年ほど前に見たある絵のことを思い出した。アンドリュー・ワイエスの 『追越し車線』 という絵だ。
アメリカのハイウェイの隅っこで、リスが轢かれて死んでいる。ワイエスはその様子を水彩画に描き、仕上げに道路で死んでいるリスの血を、絵のリスの傷口になすりつけた。当時、僕は絵を見てそのエピソードを知って 「ふーん」 と感心した。
でもそれはヤンセンの絵と比べてみると、どうなんだろうか。
ヤンセンの絵とワイエスの絵は、小動物の死骸というモチーフは共通だし、描写力は二人とも群を抜いている。
でもヤンセンの絵は、ワイエスの絵から感じられる物語性とか感傷とかとはまったく関係なく、対象がただ 「ものそのもの」 としてとらえられ、生々しくこちらに迫ってくる。今回、僕はその 「ものそのもの」 という感覚に強く魅かれた。
ヤンセンは淋しがり屋で破滅型のトラブルメイカーで、絵の着想を得るまでは酒場とかでグダグダと過ごしたが、ひとたび着想が浮かぶと、アトリエにこもって電話線を引き抜き、鬼気迫る絵を描きあげたそうだ。
ミュージアムショップでヤンセン本人を写した写真集を買ってきた。雑然としたアトリエの様子も写っている。
そのままスキャンしてこのブログに載せたりするのは問題がありそうなので…
彼のアトリエの様子はこんな感じです。
Nomi BAUMGARTL : "HORST JANSSEN" より
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With holding my dissatisfaction, I went to Saitama, to watch "HORST JANSSEN RETROSPECTIVE" at Museum of Modern Art Saitama.
I was really shocked by JANSSEN's work.
I could not stop to consider what I really should do.
...Modinha...
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