【2010年8月6日(金)】
前日の夜、喜界島のホテルのおかみさんが、手作りのアンダギー(揚げドーナツ)をくれました。ただ注意として、部屋に置きっぱなしにしておくとアリがたかるので、気をつけなさいということです。
そういうものかと思い、アンダギーは早々にいただいたのですが、朝起きてみるとおっしゃるとおり、ミキの缶に微小なアリがたかっていました。
庭先の小屋のシャワーとランドリーをお借りします。
写真では分かりづらいですが、シャワー小屋の壁に、きれいな色の小さな爬虫類がいます。
ホテル朝食。美味。
デザートに、島の産のパッションフルーツが付いてきました。
またいただきました、
おかみさんの、さくさくアンダギー
さて、前日に仕事の休みを利用して島を案内してくれた友達が、この日はわざわざ休暇を取って、引き続き島を案内してくれるとのことです。恐縮するも、大変ありがたいです。感謝です。
友達との約束時間まで、ホテルのまわりを散歩してみることにしました。
この「キズキ建具店」には、前の晩から注目していました。
夜に店の前を通ったのですが、平屋の作業場の向かって左側、細長く増築された部分の灯りがつけっぱなしで、室内が煌々と照らされていました。そしてそこには、「三線」がズラリとディスプレイされていたのです。
中で若い職人さんが作業を始めておられたので、おじゃましてお話を聞いてみました。
キズキ建具店は文字通り建具屋さんで、現在親子で営業されていますが、倅さんのトシユキさん(僕と話をしている若い方)は、三線の製作もやってみたいと思うようになり、沖縄に修行に行って技術を身につけ、喜界島に戻って三線の工房を開いたそうです。
沖縄民謡と奄美島唄が違うように、三線にも沖縄型と奄美型があるらしいです。ただトシユキさんは沖縄で修行されてきたので、沖縄・奄美、どちらの型の三線も作れるそうです。(それとも、沖縄型のほうが得意という話だったか…ちょっと記憶があやふやです。)
僕は、喜界島に来ることを決めてから、できれば三線を手に入れて帰りたいと考えていました。それも蛇の皮を張った本格的なものではなく、空き缶を流用して作った「カンカラ三線」が欲しいと思っていました。
トシユキさんの工房を見せてもらうと、本蛇皮の三線に混じって、カンカラ三線がありました。積極的な商品というよりは、どちらかというとトシユキさんの製作のトレーニングと自分の演奏のために作ったものだということです。
でも、まあ、譲ってあげてもいいよというお話です。お値段を交渉して、譲っていただきました。
胴部は銀座風月堂のゴーフルクッキーのカンカラを流用してあります。喜界島の材料を使って作られた棹は、トシユキさんの経歴が生かされた沖縄タイプの形状をしています。ヘッド部の裏面には「築」の一文字が彫り付けてあります。(「チク」または「キズキ」 トシユキさんのサインです。)とてもチャーミングな楽器です。
さて、友達が車で迎えに来てくれました。島の案内に連れていってもらいます。
車窓から見る製糖工場
サトウキビからの製糖は、季節産業だそうです。製糖工場のメインの稼動時期は冬場で、工員さん達はその時期はたいへんいそがしく、そして稼ぎもすごい。しかしそれ以外の時期は、そうでもない…ということらしいです。
ピンボケ写真しかありませんでしたが、ゴマの白い花がたくさん写っています。
喜界島はゴマ栽培が盛んで、国内ゴマ生産量が日本一だそうです。もっとも国内で流通しているゴマのほとんどは外国からの輸入品だそうですが…
島を車で走っているとどこでも、刈り取られたゴマの穂を束ねて干してある風景が見られました。
喜界島の図書館に連れて行ってもらいました。友達が執筆した論文や他の文献などで、島の高倉について学びました。高倉の構造の基本的法則を、だいたい理解しました。
お昼ごはんは、「ありがとうございます。おへんろうどん でこ」というお店で食べました。
ご夫婦がお二人で切り盛りされているうどん屋さんで、旦那さんは島の人、奥様は島の外からやってきた人です。喜界島の美しい海の写真に、どこの写真ともわからないままに運命的に・啓示的に引き寄せられたのが、奥様がついには島にやってくるきっかけになったのだとか。
それまで島にあまりなかったスタイルのうどん屋さんだそうで、選べるうどん(稲庭・さぬきなど)とトッピングを自由に組み合わせて注文できます。独自の薬味の商品開発もされています。島特産のけらじみかんと青唐辛子をあわせた「けらじこしょう」です。機能的で美しいパッケージデザインにまでこだわっておられました。
僕が特筆したいのが、「でこ」の建物の面白さです。海に近い建物は開放的で、店内・海側のカウンター・半外部のデッキ、どこにいても海を感じながら食事ができます。そして店やデッキの空間のつなげ方が、とにかく上手なのです。各場所の床レベルを少しずつ変えていて、その扱いもたいへん巧みです。
なのですが、おいしいうどんと会話に夢中で、「でこ」の空間の魅力の謎を具体的に解き切るまでには至りませんでした。機会があればぜひまた訪れたいお店です。
島のあちこちには、このような泉?池?があるようです。
泉へと繋がる小道で
三線をいじって音を探りながら
友達の家がある集落を探検しました。
いしがんどう
志戸桶という地区の小学校に保存されている高倉を案内してもらいました。
僕は、さきほど学んできた高倉の基礎知識を実地で確かめるいい機会だと思っていました。
しかし、友達は語ります。「この高倉はカヤ葺き屋根のままだし、昔に近い形で保存されているのかもしれない。でも、鎖に繋がれ、カヤは痩せ、なにより今は誰にも使われていない。資料として見に来る人はいるが、生活に根ざしているとは言えない。これでいいのかどうか、はなはだ疑問だ」と。
その思いに、僕はかなり衝撃を受けました。
夫婦ガジュマルの樹
島一番の景勝地・百之台公園
海とサンゴ礁の浜辺と、さとうきび畑が見えます。
さとうきび畑のなかを、まっすぐ進む道
現役の高倉を、何軒か案内してもらいました。
僕はこの日の夜の船で、帰るつもりでいました。そろそろ時刻のことを意識しないといけません。最後に、かつてから所望していた山羊料理がおいしい居酒屋に連れて行ってもらいました。
やぎの刺身・カラジューリ(内臓と血と野菜の炒めもの)・やぎ汁などをいただきました。やぎを食べたのは初めてでした。このお店のやぎ料理は拍子抜けするほど(?)けもの臭さがなく、とてもおいしかった。
さて、
そして…
友達は僕を港まで送り届けてくれました。
いよいよ友達とも島とも、お別れです。
(旅に関する記事は、ラベル「2010年の夏旅」をご覧ください。)
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